・退行催眠

退行催眠とは

退行催眠のテーマはトラウマの克服や改善

トピック1:退行催眠の基本的な考え方と理論

  • 記憶の圧縮と想起:人間の記憶は、出来事や感情が圧縮されたデータとして脳内に保管されており、普段使わないものは奥にしまわれています。退行催眠は、この圧縮された記憶を物置から出し広げるようにして、当時の時間、出来事、事柄を再び体験することを目指します。これは、パソコンの圧縮ファイルや、本棚に並んだ本の様に新しい記憶は前面に、古い記憶は奥にあるというイメージです。
  • 時間の概念:時間は誰にとっても1日24時間と決まっているが、記憶を遡ることは可能。退行催眠は、この時間の流れを逆行する能力を利用。
  • 医療的催眠への応用:過去のトラウマや問題点にアクセスし、解決に導く目的で使用される。
  • 暗示の重要性:退行催眠においては、暗示が非常に重要です。例えば、耳にフィルターがかかっているという暗示によって、誘導者の声だけが聞こえるようにしたり、エレベーターの各階が年齢に対応しているという暗示によって、過去の記憶を呼び起こしたりします。
  • アンカー(スイッチ)の概念:催眠状態や特定の感情、記憶に一瞬で戻るためのトリガーとして、「アンカー」または「スイッチ」の概念が紹介されています。これは、特定の言葉、行動、感覚などを結びつけることで機能し、後でそのトリガーを用いることで、対応する状態を再現することができます。例として、「私が」という言葉と気持ち良い感覚を結びつけたり、「パン屋さんGパン」という言葉と過去の痛みを伴う記憶を結びつけたりもできます。

トピック2:退行催眠の技法と手順

  • カウンセリングの重要性:退行催眠を行う前に、相手の話を丁寧に聞き出すカウンセリングが不可欠である。相手の語るポイントを繋ぎ合わせて、誘導の方向性を考えるのは誘導者の役割です。
  • 時間をかけた誘導:指パチンなどの即時的な方法ではなく、時間をかけてじっくりと相手の記憶を一つ一つ呼び戻しながら、過去の出来事に向かっていくことが重要です。
  • リラックスと安心感の醸成:催眠導入においては、相手をリラックスさせ、安心感を与えることが基本です。呼吸法や体の各部位の力を抜くイメージ誘導などが用いられます。また、「いつでも現在の時間に戻れる」という安心感を与えることも重要です。
  • イメージ誘導:過去の記憶にアクセスするために、様々なイメージが用いられます。
    • エレベーター:現在の年齢を最上階とし、階が下がるごとに過去の年齢や出来事を想起させる技法。
    • 湖と泡:深い湖に潜っていくイメージの中で、感情や記憶が泡となって現れるという技法。感情の色と泡を結びつけることで、感情の動きを可視化します。
    • 映画館:過去の自分の人生をスクリーンに映し出された映画として見るという技法。
  • キーワードと感情の結びつけ:過去の特定の出来事や感情に関連するキーワードを用いることで、記憶を呼び起こします。また、当時の感情を再体験することが重視されます。
  • オウム返し:被験者の言葉を繰り返すことで、安心感を与え、さらに話しやすくするオウム返しの技法が必要。
  • アンカーの埋め込みと利用:特定の言葉、行動、感覚などを過去の体験や感情と結びつけることで、アンカーを埋め込みます。後でそのアンカーを用いることで、関連する状態を瞬時に呼び戻すことができます。

トピック3:退行催眠の実践例と観察

  • 幼少期への退行:被験者を幼少期(小学校1年生頃、さらに遡って初めて股を触った頃)に退行させる。この際、言葉遣いや興味の対象が年齢に応じて変化する様子が観察されます。
  • 意識の変化:退行するにつれて、被験者の意識が変化し、まるでその当時の人格が表れているかのような言動が見られます。映画を見ている時と、実際に自分がその年齢に戻っている時とで、体験や語り口が異なることも観察対象です。
  • 感情の再体験:退行中、被験者は過去の出来事に伴う感情(喜び、悲しみ、興奮、痛み、恥ずかしさなど)を再体験し、それを言葉や身体的な反応で表現します。
  • 記憶の鮮明化:催眠状態で過去に戻ると、通常よりも鮮明に当時の状況を思い出すことができます。テーブルの色や周りの物の配置など、普段は思い出せないような細部まで想起されることがあります。
  • 性的体験への退行:被験者の過去の性的体験(最高の快感だったセックス、初めての性体験)に退行する。これらの例は、退行催眠が感情や身体感覚を鮮明に呼び起こす可能性があることを示唆しています。

トピック4:退行催眠における倫理的考察と注意点

  • 被験者の同意と安全:催眠を行う際には、被験者の同意が不可欠であり、安全を確保することが最優先されます。嫌なことがあればいつでも抜け出せるように合図を教えるなどの配慮が必要です。
  • 性的暗示と未成年者への配慮:幼少期への退行を利用した性的な暗示(合法陰行)については、倫理的な議論を呼ぶ可能性があります。これはあくまで催眠下の出来事であり、現実の行為を推奨するものではない。特に、子供を対象とした性的行為は絶対に許されない行為です。
  • アンカーの悪用:埋め込んだアンカーは、意図しない状況でtriggerされる可能性や、悪用される可能性も否定できません。そのため、アンカーの埋め込みは慎重に行い、解除の方法も理解しておく必要があります。
  • 催眠からの完全覚醒:催眠が終わる際には、必ず被験者を現在の年齢と意識状態に戻し、完全覚醒させることが重要です。

最後に、医療関係者以外は必要ない技術かな?と思っています。(笑)

用語集

  • 退行催眠(たいこうさいみん):催眠誘導によって、被験者の意識を過去の特定の時点に戻ったような状態にすること。過去の記憶や感情を再体験することを目的とする。
  • 催眠誘導(さいみんゆうどう):被験者を催眠状態に導くための技法やプロセス。リラックスを促したり、特定のイメージを想起させたりする。
  • アンカー:特定の刺激(言葉、ジェスチャーなど)と特定の感情、思考、または催眠状態を結びつけること。後でその刺激を与えることで、結びつけられた状態を再現できる。スイッチとも呼ばれる。
  • 暗示:催眠状態の被験者に対して与える言葉やイメージ。被験者の思考、感情、行動に影響を与えることを目的とする。
  • カウンセリング:退行催眠の前に、被験者の抱える問題や目的を聞き出すプロセス。誘導者はこの情報を基に催眠誘導の方針を立てる。
  • イメージ誘導:特定の情景や状況を想像させることによって、被験者を催眠状態に導いたり、特定の記憶や感情を引き出したりする技法。
  • 分割弛緩催眠誘導の技法の一つである可能性が高いが、資料内での具体的な説明はない。
  • リラックス(relax):緊張や不安が和らいだ、心身ともに落ち着いた状態。催眠誘導の初期段階で重要となる。
  • タイムダイブ:時間を潜っていくような感覚で過去の記憶にアクセスする退行催眠の手法。
  • オウム返し:会話のテクニックの一つで、相手の言った言葉をそのまま、または少し変えて繰り返すこと。相手に安心感を与え、話やすくする効果がある。

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