・催眠療法講座

催眠の基礎と状態

  • 催眠状態の定義:催眠とは、起きている状態と寝ている状態の中間にある特殊な意識状態であり、変性意識状態またはトランス状態とも呼ばれます。夢を見ている状態に近く、イエス・ノーの判断が適切にできなくなるのが特徴です。例えば、夢の中でありえないことが起きても受け入れてしまうのはこのためです。
  • 催眠状態への入り方:眠いのを我慢することが催眠状態を引き起こす一つの要因です。電車での居眠りや車の運転中の眠気などが例として挙げられます。この時、脳内では特定の信号が出て脳が麻痺してくる感覚があります。
  • 顕在意識と潜在意識:人の意識は表面意識(顕在意識)と潜在意識に分けられ、普段は表面意識が外部からの情報を判断し潜在意識に取り込みます。催眠状態では、この表面意識の判断機能が低下または停止し、潜在意識に直接情報が入りやすくなります。
  • 脳の忘却機能:脳は全ての情報を記憶しようとするとすぐに容量を超えてしまうため、最も重要な仕事は忘れることです。表面意識は、必要な情報と不要な情報を判断し、不要な情報を忘れる役割を担っています。
  • 情報選択の原理:人は生き残るために必要な情報(生存欲、生殖力に関連する情報)を優先的に受け入れるようにできています。そのため、興味のある芸能人の名前などは覚えやすい一方、必要と認識しない学習内容は覚えにくい傾向があります。
  • 速読と催眠:フォトリーディングや速読は、実際には催眠状態に近い状態で本を読むことで情報を効率的に取り入れていると考えられます。表面意識のフィルターが弱まるため、大量の情報を潜在意識に送り込むことが可能になります。
  • お経と催眠:寺院での読経は、五感を抑制する(視覚、聴覚、嗅覚など)ことで催眠誘導の効果があります。外部からの刺激が少なくなり、眠気を催しやすい状況が作られます。
  • 自己催眠と他者催眠の誤解:男性は自己啓発的な目的で催眠に関心を持つことが多く、女性はダイエットや身体の悩みの解決を求める傾向があります。自己催眠の基本は、自分自身を最も信頼することから、自分の声を録音して励ます方法が効果的とされています。
  • 催眠は自然に解ける:基本的に、催眠状態は入浴や睡眠によって自然に解消されます。ただし、自律神経失調症やうつ病などの問題を抱える人は、催眠状態に近い状態が続く場合があります。

催眠誘導の条件と方法

  • 催眠誘導の三要因:催眠術や催眠療法で相手を催眠状態にするためには、心理的要因、空間的要因、物理的要因の3つが組み合わさることが重要です。
    • 心理的要因:権威性、脅迫、尊敬、信頼、救いといった、相手が催眠にかかりたいと思わせる心理状態。信頼関係がなければ催眠はかかりにくい
    • 空間的要因:暗い場所、良い香り、小さく安定した音、安心できる場所など、リラックスしやすい環境。施術を行う場所が催眠に適しているかどうかの判断が重要です。
    • 物理的要因:言葉かけ、体に触れる、特定の物(水晶など)を使う、香りや音を用いるなどの具体的な刺激。
  • 催眠誘導の流れ:効果的な催眠のためには、興味付け、信頼関係の構築、催眠誘導、暗示(ネタ)という順序が重要です。
    • 興味付け:相手に催眠への関心を持たせ、試してみたいと思わせる段階。
    • 信頼:催眠に対する不安を解消し、安心感を与える段階。否定的な言葉を避け、相手がイメージしやすい言葉を選ぶことが大切。
    • 誘導:眠気を誘い、意識を集中させることで、イエス・ノーの判断ができない状態に導く段階。
    • 暗示(ネタ):催眠状態に入った相手に対し、目的とする変化を促す言葉をかける段階。暗示の内容が催眠療法の核心
  • 暗示の種類:味覚変化、嗅覚変化、感覚麻痺、幻覚など、五感に働きかける暗示があります。嗅覚は潜在意識に直接働きかけるため、強力な暗示ツールとなります。
  • 催眠誘導の方法:
    • 弛緩法:徐々にリラックスさせ、表面意識を鎮めていく方法。分割弛緩法(体の各部位を順番にリラックスさせる)、イメージ弛緩法(心地よい情景をイメージさせる)などがあります。
    • 驚愕法:瞬間的に強い刺激を与え、意識の隙を作って暗示を入れる方法。声が出なくなる暗示などが例として挙げられています。
  • かかりやすい人の特徴:素直で集中力があり、トランス状態を経験したことがある人、不思議なことが好きな人。依存型(信じやすく、パニックを起こしやすい)と被暗示型(理解力があり、イメージしやすい)に分けられます。体格的な特徴(目尻や口角が下がっているなど)も指標となる場合があります。活動的なタイプは比較的かかりにくい傾向があります。

催眠の応用

  • 3類型(サイグラム):人を感情優先型(フィーリング)、行動優先型(アクティブ)、思考優先型(マインド)の3つのタイプに分類し、タイプによって効果的な催眠誘導の方法や信頼関係の築き方が異なると考えられます。暗示の内容自体にはあまり関係ありません。
  • 感覚麻痺の応用:治療院において、痛みの軽減や筋肉の弛緩に催眠を利用することができます。
  • 幻覚の応用:特定の人物や状況を体験させることで、心理的な効果を期待できます。
  • 後催眠(ポストヒプノティックサジェッション):特定のトリガー(言葉、音、動作など)によって、後から特定の反応を引き起こすテクニック。リピート率の向上などに応用できる可能性がありますが、倫理的な配慮が必要です。
  • 禁煙への応用:嫌悪感を植え付けたり、吸いたい気持ちを抑える暗示を入れることで禁煙をサポートできます。
  • 自己啓発への応用:自分の声を録音して励ますことで、自己肯定感を高める効果が期待できます。
  • 退行催眠:年齢退行や過去世退行の手法を使い、問題の原因となった過去の経験を探り、解決に導くことができます。カウンセリングにおいて有効な手段となります。
  • 自律神経系への暗示:EDやダイエットなど、自律神経系の影響が大きいとされる問題に対して、暗示を用いて改善を促す試みがされています。
  • 催眠の覚醒:緩やかに覚醒させる方法と、強制的に覚醒させる方法があります。深い催眠状態から覚醒させる際には、強制的な方法が必要となる場合もあります。覚醒後には爽快感や休息感を得られることが多いです。

用語集

  • 古典催眠:催眠術の原型となる伝統的な催眠技法。直接的な言葉や暗示を用いることが多いとされる。
  • NLP:神経言語プログラミング。言葉やコミュニケーションを通して、人の思考や行動パターンに影響を与える心理学的なアプローチ。
  • コールドリーディング:相手の非言語的なサインから心理状態を読み取るテクニック。
  • 表面意識(顕在意識):日常的に自覚している意識の部分。論理的な思考や判断、意志決定などを行う。
  • 潜在意識(無意識):普段は自覚されていない意識の領域。感情、記憶、習慣、本能などが蓄えられているとされる。催眠状態ではアクセスしやすくなると考えられている。
  • 催眠状態:覚醒時と睡眠時の中間のような、変性意識状態。暗示を受け入れやすく、集中力が高まるなどの特徴があるとされる。トランス状態とも呼ばれる。
  • 暗示:催眠状態にある人に対して与える言葉やイメージ。潜在意識に働きかけ、思考、感情、行動の変化を促すことを目的とする。
  • 催眠誘導:催眠状態に導くためのテクニックやプロセス。リラクゼーション、集中、特定の言葉やイメージの利用など、様々な方法がある。
  • 五感:視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五つの感覚。催眠においては、これらの感覚を変化させる暗示が用いられることがある。
  • 自己催眠:自分自身で催眠状態に入るテクニック。リラクゼーションや瞑想などを用いる。
  • 他者催眠:他の人が誘導することによって催眠状態に入るもの。一般的な催眠術や催眠療法で用いられる。
  • 脳内麻薬:体内で自然に生成される神経伝達物質で、痛みの緩和や快感をもたらす。ドーパミンやベータエンドルフィンなどが該当する。催眠状態によって分泌が促進されるとも言われる。
  • 3類型(フィーリング、アクティブ、マインド):人の思考や行動の傾向を3つに分類した概念。催眠療法やコミュニケーションに応用できるとされる。
  • 心理的要因:催眠誘導における、クライアントの興味、信頼、安心感などの心理状態。
  • 空間的要因:催眠誘導が行われる環境。リラックスできる雰囲気や静かな場所などが望ましいとされる。
  • 物理的要因:催眠誘導に用いられる具体的な刺激。声のトーン、リズム、触覚、視覚的なもの、特定の音や匂いなど。
  • アンカー:特定の感情や状態を呼び起こすための刺激。言葉、ジェスチャー、音、匂いなどが用いられる。後催眠はこの原理を利用する。
  • 分割催眠:催眠状態と覚醒状態を交互に繰り返すことで、より深い催眠状態を誘導するテクニック。
  • イメージ弛緩:特定の情景や状況をイメージさせることで、リラクゼーションや心理的な変化を促す催眠誘導法。
  • 驚愕法:予期せぬ刺激を与えることで、一瞬にして催眠状態を誘導するテクニック。瞬間催眠など。
  • 無痛感覚:痛みを感じなくなる状態。催眠暗示によって誘発させることができるとされる。
  • 感情・記憶変化:催眠暗示によって、感情のコントロールや過去の記憶に対する認識を変化させること。
  • 五催眠:五感やその他の刺激(アンカー)を用いて、特定の反応を引き起こす催眠テクニック。
  • 複合技:複数の催眠テクニックや暗示を組み合わせることで、より複雑な効果や変化を促す方法。
  • 体温変化:催眠暗示によって、体温を上昇または下降させること。
  • 体時計停止:催眠状態によって、時間感覚が変化したり、一時的に体内時計が止まったような感覚になること。
  • 退行催眠:催眠状態を利用して、過去の出来事や記憶を再体験するテクニック。原因の特定やトラウマの解消などに用いられることがある。
  • 前世療法:対抗催眠の一種で、現在の問題の原因を前世の経験に求めるアプローチ。

最後に、これらの術は救済に近い形で行われるべきで
根幹的な療法は長期に及ぶことも多いです。

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